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はじめに
宮川流域いっせいチェックの水質調査も2年目となり、昨年100地点であった調査地点も本年度は51地点で行いました。
「宮川清流つくり」を合い言葉としてスタッフ皆さんの協力の下、毎月観測されたデータに基づき年間総括と課題を提供することによって、お互いが問題意識を持ち本当の清流とはどのような状態であるのか今後議論を深めることができることを期待しながら…
- 調査結果による考察とその課題等
(1)宮川本流の上流
この流域での調査地点は11ポイントを選定、そのうち宮川ダム湖が2地点・本流3地点・三瀬谷ダム湖2地点・支流(薗川)1地点・支流(大内山川)3地点でした。
観測項目のCOD値については、宮川ダム湖(下流船着場)の地点以外は、評価目安からみれば話題となるような数値は観測されておりませんでした。このダム湖は生活排水等が流れこまない山のきれいな水ですが、樹木の分解や流れがないための酸素不足等自然現象によりCOD値が高くなったと考えられます。ほかには自然浄化作用の低下やダム堰堤工事等による水位の低下等もその要因として考えられます。
上流域における問題点としては、水量の減少が河川の浄化能力を低下させること、また大雨による増水が鉄砲水となり濁りを発生させるなどもひどく懸念されるところであります。森林の樹種も雑木林が少なく人工林である杉・桧等の針葉樹林が大半を占める状態の中では、森林保水力の低下が今一番の問題点としてあげられます。
全体的にはほとんどの地点がどの調査項目についても良好でした。しかし、地点2については、水中および岸辺のゴミ、油膜、にごりの面で上流部としてはあまりよくなかったという結果でした。
(2)大内山川
上流域の大きな支流である大内山川においては、7月の観測でCOD値が4mg/lと観測されている以外の月別データからは特に話題となるような数値が観測されておりません。この河川も本流とよく似て水量の減少が問題点としてあげられます。河川状況も夏期には「濁り」が見うけられましたが、四季を通じては清らかな流れが保たれていたようです。
データが少ない地点もありますが、地点9の水中のゴミ(2.3)、地点10の岸辺のゴミ(3.0)のように上流部の方がゴミが多いという結果になりました。
(3)宮川本流の中流域
この流域での調査地点は、本流10地点・支流(一ノ瀬川3地点・藤川1地点・西谷川1地点)の15地点を選定し観測をはじめました。
pH値に関してはどの地点も安定した数値が観測されていて話題となるような数値ではありません。
COD値については、各月によりばらつきがありましたが、評価目安とされる「汚染がある」といった程度の範囲内であります。また、0mg/l値という月もありました。本・支流においても、問題点とされるような観測数値は少なかったように思います。
夏期と冬期とに分けて考えれば、冬期は渇水期水量は少ない傾向にあるものの清い流れが保たれており、どの観測項目も安定した数値であり、特質すべき事柄はなかったように思います。
上流部とくらべ、ゴミとくに岸辺のゴミが多くなりました(水中のゴミは川幅や流量の関係でさほど悪くない)。岸辺のゴミが特に問題となる地点(平均値3.5未満)を以下にあげます。
22(3.0)、23(3.4)、13(3.0)、16(3.2)、14(3.4)
(4)宮川中流域の各河川
○ 藤川
調査地点は1地点ですが、四季を通じてどの項目も安定した流れのようでした。調査項目の中でも評価目安とされる「汚染がある」に該当する観測値は年間平均では少なく、自然浄化能力も比較的良好の河川ではないでしょうか。四季による変化や特質すべきことはみられなかったようでした。
水質以外の項目も、データが少ないですが年間通して良好な状態であったと思われます。
○ 西谷川
調査地点は1地点ですが、pH値は年間通じて安定しておりました。COD値に関しては月により観測値にばらつきある河川のようでしたが、その値も高値ではない数値ですので、話題となるような状況ではないと判断されます。
データが少なく分析が難しいですが、変動が大きいにごりや泡立ちで少し気になる数値になっています。
○ 一ノ瀬川
調査地点は3地点ですが、項目別のデータ結果から見ても他の地点との相違はあまりないようでした。特質すべき事柄もデータからは見うけられませんでした。
大きな問題はないものの、下流部で岸辺のゴミがやや悪い結果でした。
地点26(3.7)、19(3.6)
(5)宮川の下流域
下流域は観測地点25地点で調査しました。本流4地点・支流21地点(外城田川1地点・汁谷川3地点・相合川2地点・勢田川4地点・桧尻川3地点・馬瀬川1地点・五十鈴川2地点・朝熊川1地点・横輪川2地点・朝川2地点)であります。 本流4地点の年間観測数値から考えられることは、pH値に関してはどの月も安定した数値結果でしたが、COD値については上流域、中流域との比較では、評価目安とされる「汚染がある」と判断される月が多いようでした。また、夏期・冬期間に差があることがわかります。このことは、いわゆる水中有機物の分解速度は、大気の状態や気温・水温・太陽光等の強度等の季節変化により大きな差があることも原因のひとつではないでしょうか。加えて季節による水量の差も影響していると考えられます。他の調査項目に関しては、特に特質すべき事柄はないように感じました。
水質以外では中流部同様岸辺のゴミが問題となる地点(下記)がありました。
29(3.0)、30(3.0)
なお地点29は、水中のゴミについても平均値3.0となっています。
(6)宮川下流域の各河川
○ 外城田川
この河川は1地点の観測で、年間を通じてpH値は安定した数値であるものの、COD値については比較的高値である8mg/l以上の数値が観測されております。季節により差があり変動がはげしいように感じました。人口の多い生活圏内の河川であるので、生活排水等今後に課題がある河川かとも思われます。
地点31は水中のゴミ(2.4)、にごり(3.2)、岸辺のゴミ(2.0)、地点32は岸辺のゴミ(2.4)と悪い結果でした。
○ 横輪川
2地点の観測地点があります。年間平均から考えると、一部COD値8mg/l以上の数値が観測された月もありましたが、2地点での差も大きく、全体的には「少々汚染がある」と判断されるデータ結果であり、季節等による差のはげしい河川のようです。他の項目等についても懸念される数値が一部見うけられ、今後検討を要する課題があるようです。
水質以外では地点49で岸辺のゴミが多い(3.1)ようです。
○ 汁谷川
3地点の観測地点があります。観測地点により同じ月でも観測数値に差があります。pH値や、NH4値、PO4値、NO2値には大差はありませんが、COD値に関しては、その差がはっきりと表れております。評価目安とされる「きれいな水」・「少々汚染がある」・「汚染がある」・「汚染が多い」等、月により変動があります。
冬期の水量不足等による自然浄化能力低下などの課題、また農地と住宅地の両方を流れる河川のため、今後も課題とされる事象がでてくる環境のように感じられました。
水質以外では、地点35は水中のゴミ(3.1)、におい(1.4)、にごり(1.6)、泡立ち(3.0)と悪い結果でしたが、原因となる工場の移転でどう変化するか見守る必要があります。地点36は岸辺のゴミがかなりひどい状況にあります(3.1)。
○ 相合川
2地点の観測地点です。地点により各観測数値に多少の差はあるものの、特に話題となるような特別なデータは観測されておりません。比較的に安定した流れが保たれている河川のようです。
水質以外では、地点33は水中のゴミ(3.3)、岸辺のゴミ(2.3)、地点34のゴミ(3.0)という状況でした。
○ 勢田川
4地点の観測地点です。年間の観測値のうち、COD値は8mg/l以上の高い観測値が測定されており、また、NH4値も月により差異はあるものの評価目安からも「汚染がある」と判断できる数値が多い河川で、水質的に課題がある水域といえるのではないでしょうか。また、夏期、冬期に分けてもあまり差異がないといえます。調査5項目のパックテストでは自然浄化作用能力がどの程度あるのかはっきりとしたことはわかりませんが、自然浄化作用は河川により限度があり、勢田川のような人口の密集している地域では、一定以上の汚染物質流入に対してはその河川のもつ自然浄化作用だけでは分解することができなくなると思います。そのためその河川は汚れがひどくなります。今後自然浄化作用を含めて浄化能力を総合的に高めていく努力が大切な河川でしょう。
水質以外では多数の項目で悪い結果が出ていますが、特に何が問題かを各地点について指摘すると、以下の通りです。
水中のゴミ:39(3.3)、41(2.7)、42(3.0)、40(2.7)、44(3.3)
油膜 :39(3.1)、41(3.0)、42(2.6)、43(0.3)
におい :37(3.4)、39(0.6)、41(3.0)、43(0.8)
にごり :38(2.8)、39(0.0)、41(3.0)、42(1.8)、43(1.6)、
40(1.3)、44(1.2)
岸辺のゴミ:38(2.9)、39(2.9)、41(2.8)、42(3.0)、43(3.0)、
40(3.0)、44(2.6)
○ 桧尻川
3地点の観測地点です。この河川もCOD値・NH4値・PO4値が比較的高値の河川といっても過言ではありません。
今後とも清流を取り戻す努力が必要な河川であると判断できます。
○ 馬瀬川
1地点の観測地点です。年間を通じて差異はありますが、評価目安から判断しても「汚染がある」という結果です。特にCOD値・NH4値等に高値が観測されており、検討すべき課題の多い河川といえます。
○ 五十鈴川
2地点の観測地点です。年間を通じた観測データから安定した水域であると判断できます。落ち着いた清流の環境が維持されている河川と思われます。自然浄化作用も良い河川であるといえるのではないでしょうか。
水質以外では、地点45は岸辺のゴミ(3.4)、地点46は水中のゴミ(3.3)と岸辺のゴミ(3.3)が悪い結果でした。
○ 朝熊川
1地点の観測地点です。清流といえる河川のようで、年間を通じた観測項目の各数値からは安定した流域が保たれていることがわかります。
水質以外では、地点47は水中および岸辺のゴミがともに(3.0)でした。
○ 朝川
2地点の観測地点です。COD値に関しては年間を通じて差異はあるものの大きな差ではないといえます。他の項目等についても特に特質すべき事象は見うけられませんでした。
水質以外では、岸辺のゴミが地点50で(3.2)と高い結果でした。
- まとめ
本年度も1年間協力を頂きありがとうございました。年間総括として、各観測地点をまとめて考察と課題等を提起させていただきましたが、浅学の上素人の分際をお許しください。
宮川流域に住む我々としては、この清流を子孫・永代まで守っていこうという気持ちをひとりでも多くの方々に理解をしていただき、この活動の輪がひろがっていくことを願い総括とします(T)。
1年間を通してみると、おおよそいつでも良くない状況が続いている地点が見えてきます。そのような地点を特に調査し、原因を確かめて解決していくことが必要でしょう。
すぐに解決が難しい地点でも、なぜ難しいのか、どのようにしていけば少しでも改善されるのかを考えていくべきです。せっかく2年間にわたり調査していただいた結果が単なる調査で終わらないよう、次年度の活動を考えていきたいと思います(H)。
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